レビューのレビュー

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(3) M.M様によるGreenGrassのレビューのレビュー

M.M様より頂いたレビューを拝見しての感想や反省点について本文を引用しながらコメントを書いてみることにします。TEAD、冬ぬくに引き続き第3弾。今回は特に、レビューを見てて語りたくなったことを此処ぞとばかりに語っているだけです。そういうものなので、退屈かもしれませんが悪しからず…。

それでは参ります。

ネタバレありの部分について

今回は作品の性質上ネタバレありの部分のみとなっております。

<GreenGrassが似合う雰囲気となりました。ここから先は、彼らが自分達だけの幸せを掴んでいくだけですね。>

いつもこの冒頭に"M.Mさんが最も書きたいこと"が詰まっていますよね。

 いや~全てのエピソードを読み終わってビックリしましたよ。まさかあのジードとディルの過去話が生まれる切っ掛けに自分が噛んでいたなんて思いもしませんでした。「+ 冬のぬくもり +」で表現していた死生観、その象徴とも言えるジードの生い立ちを読む事が出来てそれだけで嬉しかったです。

コンプリート後に開通する後書きにて『冬のぬくもりのレビューをM.M様から頂いた際に、何らかの形でジードの生い立ちは描こうと決めました。』と書かせていただきましたので、その点についてですね。最初に読んだときは一瞬何のことかとw 単刀直入に言うと、両作の関係についてM.Mさんがお気づきになられていないのでやっぱり説明?したくなって作りました。ちなみに、勘の良い方(乙女ゲーム慣れしている方?)はそこそこお気づきのようでした。また、設定・裏話wiki(特にその中の相関図)をご覧の方はすでにご存じだったかと思います…そこまで深堀りされた方は稀だと思いますが。どのみちM.Mさんがお気づきでないということは他にもお気づきでない方もいらっしゃったのではないかと。

 国と仲間の為に戦い、その中で友情と愛を見つけ幸せのあり方を探していく「TEAD」、そしてその「TEAD」と同じ世界を共有し、死生観を表現しながら恋を紡いでいく「+ 冬のぬくもり +」、それぞれの作品における登場人物の色々な顔を拝見する事が出来ました。おなじエク・ダパーセという舞台でありながら殆ど関りがないと思っていた両作品でしたが、このような形でクロスオーバーし関係性を持っているとは思いませんでした。エゼノスとヴィサークの何気ない会話や、ディルとジードの生い立ちなど、繋がっていないと思っていたものが繋がっているという描写は結構好きだったりします。また一つ、この作品の世界観を深く知る事が出来ました。

元々は「アイツとアイツは実はこういう関係で」というのがもっと沢山ありました。ですが、しつこくなりそう&どんんだけ狭い世界なんだ?となりそうだったので辞めました。ちなみにディルとジード、エゼとヴィスの他にもう1ペアのクロスオーバーがありますが、これについてはあまり記述もないので設定wikiの相関図をご覧頂かないとわからないのではないかと(相関図なしで気づいた方がいらっしゃれば拍手メッセージなどで是非お知らせください!)。あと隠してませんがパディアが両作に登場しますね、冬ぬくでは名前だけ、TEADではビジュアルだけ&キャラ紹介に。
GreenGrassを見てからTEAD/冬ぬくをプレイすると結構あちらこちらで言及されていたことにお気づき頂けると思います。逆にクロスオーバーが(ほぼ)無いメインキャラはアルス・サンテ・バーク・ユリシオ・デミラで、ちょっと存在感が薄くなってしまいがちなのが気になっていました。ただ、彼らこそが各々の作品の象徴だと思ってます。

 基本的には後日談やちょっとしたエピソードの集合でしたので、懐かしく思い出す気持ちでプレイしておりました。そういえばディルはこんな感じの女性だったなとか、プレイしながら「TEAD」の世界観を思い出していきました。あとがきでもありましたが、本当にエゼノスのエピソードが多かったですね。過去も未来も含めて、色々な顔を見る事が出来ました。個人的には、ディルが槍兵として入隊したばかりのエピソードが印象的でした。誰にも相手にされないディルと、その事でイラつくディルに対して恐怖心を覚えるアルスの対比に驚きました。幼馴染とはいえ、始めからずっと仲が良かった訳ではなかったんだなと分かってある意味ホッとしました。

ディルのエピソード「槍兵」は、書いてて一番長くなったくせに一番「これ誰得なんだ」という内容だったので、印象的だったとのお言葉を頂いて安心しました。TEADのアンケートでディルの生い立ちについて気になるといった趣旨のメッセージを頂いたこともあったので、書いていたときはそれが糧だったかもしれません。あとディルが主人公でありつつ男女問わず一定の支持を得ていたのと。あとロフを気に入ってくださってた方がいたのと…。で、誰得かはともかく、個人的には結構書きたいと思っていた内容でした。特にアルスと仲違いするところ。スチルはTEADの立ち絵の使いまわしでごめんなさいm(_ _ )m 「追憶」でもそうですが、事あるごとにアルスとディルが元々そこまでベッタリだったわけじゃないという描写をしています。幼少期に近しかった男女間には恋愛関係が生じにくいといった話を本で見てから、半ば無理やり設定を曲げていまして…。あと少々脱線しますが、アルスの家で世話になってる間のディルはずっと「自分はこの家の子ではない」という意識があって、若干ひねくれて?います。
それにしても、王国軍に入った頃のあのディルを見て「そんな態度じゃそりゃそんな目に遭うだろ」と思った方も居たかもしれません。大丈夫です、作者も割とそう思ってました(笑)。 あとアルスは、ディルに甘えたいと思うことはあってもディルの力になりたいとは多分あまり思っていません。そういう思いが多少芽生えたのがTEADのアルスエンド。

 また、作中でディルが言った「裏切られたときに耐えるための精神力を保持していないと人を信じることは出来ない」には酷く共感しました。私もそうなのですが、何か人に対してお願いをする時は何を言われても動じないとそれなりの覚悟を決めて行動します。まあ、その覚悟という物も結局は自分の希望が通らなかった時に心を乱さない為の防衛策なんですけどね。付け焼刃みたいなものですので、実際あまり意味を成しておりません。要は、予防線という事です。そういう意味で、人を信じるという事は本当に尊い事でありエネルギーが必要な事だと思っております。自分も相手も、信じて欲しいと思う人に対しては信じているよとアピールする事が大切なのかなと思いました。

意外なところで共感していただけて少々驚きました。一瞬どこで出てきたセリフだっけ?と思いましたが、「立話」(ディルがロフにエゼノスの件で相談する話)のセリフですね。M.Mさんも仰る通り、人を信じる(広く言えば"恐怖に立ち向かう")って結構エネルギーが必要なことだと思います。このシーンの他、いくつか自分が日頃感じていることを入れ込んだと記憶しています。どなたかに引っかかったら嬉しいなぁとか…。他のプレイヤー様にもぜひ、このセリフ・このシーンが印象的だった!みたいな所があれば教えて頂きたいです。

ジードについては、何も悪い事をしていないと分かって本当に安心しました。結局のところ、ディルは許してましたからね。ただ、事実としてディルの父親は毒矢で死んでしまいましたしその事が帳消しになる事はありません。その事に捉われた結果が、あの「+ 冬のぬくもり +」でのジードだったのかなと思っております。後は、自分の気持ち次第ですね。少なくともジードの周りに悪人はいませんでしたので、また昔の様に無邪気な姿を見せてくれる事を祈っております。

念のために解説しておきますと、毒矢を放ったのはジードではなく、茂みに隠れていた別の山賊です。ジードは山賊である親や周囲の人に利用されていただけです。別途お聞きしたところM.Mさんもその点お察しくださっていたようで良かったです;もう少し詳しく説明すると、ジードは山賊の男と彼らにさらわれた女の元に生まれた子です。ジードや彼の母親は、父親の思い通りにならないことがある度に暴力を振るわれていました。ディルを捕まえ損ねた日はとりわけ酷く、母親は何とかジードだけでも山賊団から逃そうとして彼に嘘をつきました。ジード自身、この山賊団にこれ以上居るのは嫌で"母親の言う通り出掛けた"のでした。彼が単身で逃げ出したにも関わらずグラッセラの奥地にたどり着けたのは、途中途中で通りすがりの大人の手を借りれたからです。場所にもよりますがグラッセラやのノーザヴィラの人たちは割と寛容、ないし大雑把です。
ジードが直接人を殺した経験があるとすれば島の外ですが、詳細は不明です。M.Mさんもお察しの通り、ジードはディルの父親が死んだのを自分のせいだと思っています。また、TEAD本編で王国軍から1人犠牲者が出ていますが、それも直接手を下したわけではないものの自分が起こした戦で犠牲になっているためやはり自分のせいだと思っています。彼の頭の中ではほぼ「自分が人を殺めた」という認識になっています。そういうわけで、物心ついたときから事あるごとに「自分は存在悪だ」と感じていました。その認識はすぐには変わりませんが、冬ぬくの方で少しずつでも幸せになってくれればと作者も願っています。余談ですが、ジードはまずTEADの敵キャラとして生まれて、デザインが気に入ったので冬ぬくの方で幸せになってもらうことにした…という経緯がありますね。自分でも忘れかけていましたが。

GreenGrassとは、直訳すれば緑の草です。よくよく思い返してみれば、「TEAD」でも「+ 冬のぬくもり +」でも緑の草の印象はありません。それぞれの物語が終わり登場人物達の気持ちに区切りがついた事で、やっと緑の草が生い茂る季節になる事が出来たのかも知れません。直接的にはディルとジードが遊んだあの草原の事かも知れませんが、他のエピソードも緑の草のイメージがしっくりくるものが多かったと思っております。

この辺りがM.Mさん詩人だなぁと(笑)。特にエゼノスに関しては、彼の不安定で苦労の多い青春時代の、始まりから終わりまでを描いた感じでしたね。信頼のおけるパートナーができて、これからは地に足をついたような生き方ができるのではないでしょうか。最後のスチルは実は特別?で、彼がああいう表情をできるようになったのはあれが初めてです。彼が口角を上げるのは、あってもサンテやヴィサークの前(あるいは嘲笑)だけでしたので。
もう1つ別の観点がありまして。本シリーズの舞台であるエク・ダパーセ島のモデルとなっているのは作者自身の故郷です。山あり・海ありの田舎でした。作中ではグラッセラからノーザヴィラまで半月ほどかかる程の道のりですが、ロケ地としてはグラッセラもベイスティアもノーザヴィラも1~2kmくらいずつしか離れていません。要するにエク・ダパーセ島はだいたい何処でも夏になればGreenGrassということです(作者の感覚としては)。
尚、写真については自分で撮ったものだけでは心もとなかったのですが、関東に引っ越してからネット上で同郷の方とお知り合いになれて、その方にお願いして秋・冬の写真を撮影して頂くことができました。ある時から都合により音信不通となってしまいましたが、去り際に写真素材は使い続けていいと仰ってくださったので今作でも使わせて頂いています。彼の存在無くしてTEADシリーズは完成しなかったと言っても過言ではありません。本当に感謝しています。

これにて、やっとエク・ダパーセで繰り広げられた男女の物語が収まりました。後は、彼らの幸福な未来を陰ながら祈るだけですね。是非自分達の目指す幸せを掴んで欲しいと思いました。ありがとうございました。

本当に作者自身も書き切った達成感がありました。TEADや冬ぬくの中にいくつかGreenGrassに繋がる仕込みがしてあったので、その辺りきちんと回収できて良かったです。
「着任」でも若干言及があるように、この島はまたいつ襲撃を受けてどんな事態になるかもわかりません。島の平和のために出来ることをし続けると同時に、もしものときに何をすべきか考えながら、明日死んでも後悔しないよう日々の幸せを大切に生きていく…それが王国軍の幹部や隊員、あるいは島の人々全員に求められることです。蛇足ですが、奥手なディル・エゼが関係を進められたのも、平和な日々が続く保証はないという考えが常に脳裏にがあったからです。
あちこち余談が長くなりましたが、改めましてこの度レビューを書いてくださったM.M様に心よりお礼申し上げます。大変嬉しかったです!ありがとうございました!

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冒頭の点数について

シナリオについてはやはりTEADと同じく決して厚いわけではないですし、M.Mさんの点数の付け方としては妥当だと思ってます。BGMが予想に反して高めで意外でした。しおりもさんの曲を再度使わせて頂いたというのも影響としてはあると思うのですが…。お聞き間違いでなければ、サウンドテストでBGMを流しつつレビューを書いてくださったそうです。確かに自分でも結構くり返し聞いていた時期はありました。途中で聞きすぎて飽きて辞めました(苦笑)。冬ぬくやTEADのBGMに関しても似たような感じでしたけどね。ただ、冬ぬくは同じ曲のアレンジが多すぎてひときわ飽きやすいです;追々またTEADのようにフリーのサウンドトラックを出したいと思っています。冬のぬくもりの分もセットにしてフルアルバムで出したいなぁとも。サントラ出すのが遅れる理由なんて、曲の整理も多少ありますが、最大のハードルはジャケット絵の作成なんですよ…。もし早く出してほしい方がいらっしゃればぜひ発破かけてください、そしたらやる気が出るので。
総合評価については何とAをつけて頂きました!これについて少しお聞きしてみたところ、Bと迷われたそうですがTEAD・冬ぬくの(特にジードとディルの)関連性について描かれていたのが印象深かった、といった理由だったかと記憶しています。度々申しているかもしれませんが、やっぱり本作きちんと作って良かったです。

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以上です。ご覧の皆様、最後までお付き合い頂きありがとうございました!









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